「唾液の秘密」について
お口の中には、歯、歯肉、舌や口腔粘膜がありますが、唾液もあります。歯医者さんでは、虫歯、歯周病、抜歯、詰め物、被せ物や入れ歯などの治療や作製を行いますが、唾液となると口腔外科や医科領域での治療となっています。
この唾液は、お口の中の唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺等)で作られて分泌されたものです。歯科治療にとっては、結構、治療の妨げになりますが、実は口の中の健康状態を保つためには重要な働きをしています。歯科医にとっては、唾液のコントロールも非常に重要な仕事となっています。それでは、唾液について説明していきましょう。
唾液は1日に、個人差もありますが、1リットル〜1.5リットル分泌され、大体一日の尿量と同じくらいです。年を取るとともに減少傾向があります。安静時(寝ているとき等): 毎分0.3 mL 以上、刺激時(食べている時等): 毎分1.0 mL 以上分泌されています。
唾液にはどんな働きがあるの?
1.口の中の汚れを洗い流す
2.湿潤・保護作用(お口の中に傷が出来ない様に守る働き)
3.味を感じやすくする
4.食べ物の消化を助ける
5.口の中を中性に保つ
6.細菌の繁殖を抑える
7.むし歯を防ぐ
等の働きがあります。
1.口の中の汚れを洗い流す
唾液は常に口の中に分泌されています。食べかすを洗い流して口の中を清潔にし、常に潤いを保つことで、口臭を防ぎます。
2.湿潤・保護作用(お口の中に傷が出来ない様に守る働き)
唾液には、軟組織部の動きを滑らかにする潤滑剤の作用があり、こすれて傷を付けるのを防いでくれています。
3.味を感じやすくする
食べ物が唾液と混じらなければ味を感じることはできません。味を感じるのは舌ですが、舌は唾液に溶け込んだ食べ物の味成分を知覚するのです。ガスチンや亜鉛が働きます。
4.食べ物の消化を助ける
唾液成分のムチンが食べ物が混ざることによって食べ物がやわらかくなり、飲み込みやすくなります。唾液の酵素アミラーゼは、食べ物の中のデンプンを分解し、胃で消化しやすい状態にします。
5.口の中を中性に保つ
口の中が酸性に傾くと、歯のエナメル質の表面からミネラル分が溶け出し、むし歯になります。唾液は口の中を中和し、むし歯を防ぎます。 重炭酸イオンが働きます。これを唾液緩衝作用といいます。
6.細菌の繁殖を抑える
口の中にはむし歯の原因菌だけでなく、さまざまな病原菌が絶えず侵入してきます。唾液には侵入してきた細菌を殺したり、抵抗する働きがあります。唾液中のリゾチーム、ラクトフェリン、分泌型IgA、ペルオキシダーゼ、ヒスタチンなどが働きます。
7.むし歯を防ぐ
歯の成分は「酸」に弱く、飲食のたびに少し歯の成分が溶かされます。
唾液は歯の成分であるリン酸イオンやカルシウムイオンをたっぷりと含んでいて、溶け出した歯の成分をもとに戻します。再石灰化を促します。
以上のようなことから、唾液がないと以下のようなさまざまな問題が出てきます。
- 会話がしにくい
- 食べ物を飲み込みにくい
- 食べ物の味がわかりにくい
- むし歯の増加、歯周病の悪化
- 唾液がネバネバする
- 入れ歯が合わない
- 口内炎
- 口腔カンジダ症
- 口臭が強くなる
唾液にはどんな働きがあるの?
1.水分補給
2.食事の時にしっかりと噛む
3.舌を動かす
4.唾液腺マッサージ
など
唾液は加齢的な影響で、高齢になるにつれて減少していきます。そこで、食べ物をしっかりと噛んで食べ、唾液を出しやすくする、マッサージをする、などを行い、唾液がしっかり出るようにしてください。心配な時は、歯科医院を受診されることをおすすめします。