補綴(入れ歯)科
入れ歯の手入れ
入れ歯には大きく分けて2種類あります。
- 部分床義歯(部分入れ歯)
自分の歯が部分的に残っている場合に装着する入れ歯のこと。 - 総義歯(総入れ歯)
自分の歯が全くなくなった場合に装着する入れ歯のこと。
入れ歯の目的
- ①歯の喪失に伴う機能低下の回復
・咀しゃく(食べ物を噛みくだく)機能の低下
・発音の不明瞭化 などを回復させます。 - ②審美性の回復
唇や頬をささえている歯が無くなると口元が落ちこんで顔が老けこんで見えます。これを入れ歯の装着により回復させます。 - ③関連組織(残存歯、顎関節など)の保護
・歯が抜けたまま放置しておくと残存歯が移動し、歯並びが悪くなります。
・特に奥歯が無くなると顎関節の負担が大きくなり、顎関節症の原因となります。
入れ歯の汚れ
お口の手入れが悪いと歯面にプラーク(細菌)が付着します。
プラークは歯面だけではなく、入れ歯にも付着します。このプラークの中には真菌(カンジダ菌など)が多く含まれ、炎症を起こし、重篤な疾病に波及することも少なくありません。
入れ歯の清掃法
入れ歯に付着したプラーク等の汚れは、入れ歯専用ブラシで機械的に除去するのが基本です。入れ歯の中に侵入した真菌などの細菌の除去には酵素系義歯洗浄剤(入れ歯洗浄剤)が用いられます。
毎日、気持ちよく入れ歯を使用するために
入れ歯の性質を知る。
- 入れ歯は、乾燥すると変形し、痛みの原因となります。
- 入れ歯の材質は、落下などの衝撃に弱く、注意が必要です。
入れ歯を清掃する。
- 毎日・毎食後・就寝前に入れ歯の清掃をしてください。
- 必ず入れ歯を外してから清掃します。お口の清掃とは別に行います。
- 入れ歯の清掃は、水で注ぎながら“入れ歯専用のブラシ”(使い古しの歯ブラシでも可)で行います(洗面器の中で清掃すると入れ歯を床などに落とすことが少なく安全です)。
- 入れ歯の清掃に歯磨き粉は厳禁です(入れ歯にキズが入り、汚れやすくなります)。
- 入れ歯の中に侵入した細菌はブラッシングだけでは除去できません。週に1~2回は入れ歯洗浄剤を併用すると効果的です(逆に入れ歯洗浄剤だけでも全ての汚れは除去できません)。
就寝時は入れ歯を外す。
- 就寝時の口腔内は特に細菌が繁殖しやすく、入れ歯を装着したまま寝ると、入れ歯が細菌の溜まり場になってしまいます。
- 理由があって就寝時に入れ歯が外せない場合には、入れ歯を必要としない時間帯に外すようにして下さい。
- 歯ぐきも体と同様に1日の疲れが貯まっています。休ませましょう。
入れ歯の保管
- 保管場所を決めてください。
- 入れ歯専用の容器を用意してください。
- 入れ歯を使用しないときは必ず清潔な水の入った専用の容器内に保管してください。
- 容器の水は毎日取り替えてください。
- 就寝の時は、入れ歯と一緒に“入れ歯洗浄剤”を入れておけば一石二鳥です。
定期検査
- 入れ歯は、過酷な条件下で使用されています。専門の歯科医の定期的な検査を受けることが、入れ歯の寿命や口腔内の健康を長く保つ秘訣です。