内視鏡センター 胃癌について
概要
胃癌の発生についてはいくつかのリスク要因が指摘されています。喫煙や食生活などの生活習慣や、 ヘリコバクターピロリ菌の持続感染などが胃癌発生のリスクを高めるとされています。
胃癌の罹患率は40歳代後半以降に高くなります。検診や内視鏡検査の普及により、 日本全体では人口10万人あたりの罹患率は男女とも減少傾向ですが、高齢化のために胃癌にかかる人の全体数は横ばいです。全ての癌の中での死亡率において、胃癌は2015年時点で男性では2位、女性では4位です。
胃癌の病期(ステージ)
胃癌は粘膜に発生し、胃の壁の中を外側に向かって深く進んでいきます。
病期(ステージ)とは、癌の進行の程度を示す言葉です。病期にはローマ数字が使われ、胃がんはI期(IA、IB)、II期(IIA、IIB)、III期(IIIA、IIIB、IIIC)、IV期に分類され、数が大きくなるほど癌が進行していることを表します。癌の深さが粘膜および粘膜下層までのものを早期胃癌、深さが粘膜下層を越えて固有筋層より深くに及ぶものを進行胃癌といいます。癌が粘膜下層を超えて深く広がるとリンパ管や血管に入り込んで、リンパ節や他の臓器に転移する可能性が出てきます。
胃癌の治療
胃癌の治療は、病期によって下図のようにガイドラインで推奨されています。この治療指針を基本として、患者さんの全身状態や意思を踏まえて方針を決定します。
内視鏡的治療
リンパ節転移のない早期胃癌では、内視鏡下に胃の表層を切除するだけで根治効果が得られることがわかってきており、従来の外科手術と比べ体への負担がより小さい治療として注目されています。
1.内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection:EMR)
高周波スネアを用いる方法
がんの下に生理食塩水などを注入して隆起させてからループ状のワイヤーをかけて、ワイヤーをしぼり高周波電流を流してがんを焼き切ります。
2.内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection:EMR)
高周波メスを用いる方法
EMRでは切除が困難な部位やサイズの大きな腫瘍などに行います。ESDではまず癌周囲の粘膜を切開し、次に粘膜下層を直接観察しながら、少しずつ高周波メスで剥離して切除します。
腹腔鏡下手術
リンパ節に転移している可能性がある場合や、位置やサイズなどの理由で内視鏡的切除が困難な場合、手術による根治を目指します。当院では腹腔鏡を用いた手術を行っています。従来の開腹手術と比べ、お腹の傷が小さく済み、患者さんへの負担を軽くすることができ、開腹手術と遜色ない手術成績が得られています。